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※自転車研究家の鈴木邦友評議員からの報告です。(2012年7月10日)


22.2mmの打刻が見える国産ステム これでJISに適合していることがわかる


「あなたの自転車、この国では直りません!」

 日本の工業製品が日本工業規格(JIS)で管理されていることは誰もが知るところだ。ということは、他の国でも同じような規格が存在しているということが想像できる。その通り、それぞれの国ではその国独自の工業規格が有り、その国の工業製品を管理している。特に昔から工業に力を入れている国では、とてもしっかりした工業規格が存在している。

 自転車もまた同じ、日本製自転車はJISで管理されていて、米国の自転車は米国規格で、英国の自転車は英国規格でそれぞれ管理されている。

 ところで、世界にはどれくらいの数の規格が存在するかというと、工業国の数だけ存在するといっても過言ではない。しかし大きく分けると3つのグループに分けることができる。その3つとは、英国規格、仏国規格、伊国規格だ。いずれも工業製品の輸出に力を入れていた国の規格であり、自転車文化を育て上げた国の規格ということになる。

 我が国の自転車もまた同じで、JISで管理されていると前述したが、実際は英国規格がベースになっている。それは昔我が国の自転車の多くが英国や米国から輸入されていたためで、自転車の大きさや各部分のサイズがインチで呼ばれていることからもうかがえる。

 ここで大きく問題になるのは、それぞれの規格間でことごとく互換性がないということ。外見は同じ自転車であっても、中身は全くの別物ということになる。フレームチューブの外径、ネジ径、ネジピッチ、ネジ山角、さらには長さを計る単位まで異なっている。それを人に例えるならば、ちょうど血液型の違いのようなものかもしれない。

 では、規格により自転車のどの部分が違っているかというと、計測単位、フレームチューブの外径及び内径、ヘッド小物嵌合部の外径および内径、ヘッド小物のネジ、ステムとステアリングコラムの嵌合径、ハンドルとステムの嵌合径、ハンドル握り部外径、ボトムブラケットのネジ、フレームエンドの変速機取付けネジ、後ギヤの取付けネジ、ハブシャフトのネジ、ペダルの取付けネジ・・・・・etc と、結構多く存在していることがわかる。

 旅行中にその違いを知らずうっかり現地で部品を購入してしまうと全然取り付けられなかったり、力任せにねじ込んでしまって取り返しのつかない事態を招いたりということになる。たとえそれが日本の製品であっても、工業製品の多くは輸出先国の規格に合わせ輸出していることが普通で、シマノのパッケージだからといって安易に手を出してしまうと同じような結果を招く。

もちろんその逆もありで、日本に輸入されている外国製品は日本の規格(英国規格)に合わせてある。たとえば日本でよく見る外国製品も、本国で販売されているものとは別物ということになる。愛車に装着されているのと同じメーカーのものだからといって容易に手を出さないこと。規格を確認してから購入することは必須だ。

 つまらないメカトラブルで貴重な時間を無駄にしないためにも、アドベンチャーサイクリング出発前には、まず愛車の規格を調べ、その規格の内容と前記の各サイズ(数値)を把握しておくことが必要になる。

 見分け方としては、通常多くの製品には、パッケージや取扱い説明書また本体にその規格が表示されている。そして購入時には愛車の規格と同じであることを必ず確認すること。

ただしその製品がその国で作られたもので、しかもその国の中で販売されるものは表示がない場合も多い。それはその国の規格で作られたものということになる。つまり仏国や伊国またそれらの国の規格を採用する国においては、規格が未表示のものは、あなたの愛車に取り付けられないということが容易に判断できる。

 これだけ頭に入れておけば海外でのトラブルも怖くない。余計なことを気にせずアドベンチャーサイクリングが楽しめるというものだ。

一般的な日本製自転車の規格及びサイズ(″=インチ)

各部名称

規格・サイズ

計測単位

インチ(小ネジ類はメートル)

トップチューブの外径

25.4mm1″)

シートチューブ及びダウンチューブの外径

28.6mm1-1/8″)

ヘッド小物の上下ワン嵌合径

30.0mm

ヘッド小物の玉押し嵌合径

27.0mm

ヘッド小物ネジ

1″×24TPI

ステムとステアリングコラムの嵌合径

22.2mm7/8″)

ハンドルとステムの嵌合径

25.4mm1″)もしくは26.0mm

ハンドル握り部径

23.8mm15/16″)(23.524.0mm

ボトムブラケットのネジ

1.37″×24TPI

フレームエンドの変速機取付けネジ

10mm×1.0mm

後ギヤの取付けネジ

1.375″×24TPI

ハブシャフトのネジ(一般)

前:5/16″×26TPI 後:3/8″×26TPI

ハブシャフトのネジ(クイック・トラック)

前:9mm×1.0mm  後:10mm×1.0mm

ペダルの取付けネジ

9/16″×20TPI

5ミリネジ

5mm×0.8mm(旧車5mm×0.9mm

6ミリネジ

6mm×0.1mm

    
             ネジ山、嵌合径とも規格によりサイズが異なるヘッド小物
          25,4mm1″)×24TPI30φ・27φの表示で日本製自転車(JIS)に適合

    
        ハンドルとステムの嵌合径は規格やメーカーによりさまざま 
        組合せに要注意

    
           パッケージの標記で適合サイズがわかる
          9/16×20は英国規格つまりJISに適合ということ

    
         仏国製のBB小物はおしゃれにデザインで規格を区別している
        ちなみにストロングライトの場合、右ワンの形状が8角形で溝が2本、
       左ワンの形状が
6角形でロックリングのフック溝が8つが英国規格、
       つまり日本製自転車に適合する証

    
           BSCの文字が見える英国規格で作られた伊国製ハブ
         つまりJIS規格のフリーホイールが取付け可能ということ
          ちなみにデザインも異なっている


                                        鈴木邦友


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