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※2011年1月8日、JACC新年会に参加した自転車世界一周中に日本に立寄ったサイクリスト、サルバ・ロドリゲスさんから約6ヶ月間(12月~5月)の日本滞在報告が届きました。(2011年5月24日) ※サルバさんは5月25日アラスカに渡ります。


「日本を自転車で旅して」


   90000km走破              2006年に故郷スペイン・グラナダ市を出発したサルバ・ロドリゲスさん

日本では一日にいろいろな出来事があり、とても素晴らしい国だと思う反面、なんてひどい国なんだと思う出来事に遭遇したりしました。日本はとてもユニークな国で強烈な文化とたくさんの富に恵まれた国ですが、人々はもっと多くの富を得ることにいつも不安を持っているように思われます。私には日本の人々が人生を楽しんでいるようには思えませんでした。リラックスすることなく厳しい社会秩序に縛られているような気がします。

私は日本の山と田舎の村が好きです。特に群馬県の下仁田の谷周辺はとても静かで、コンビニエンスストアーがなく、交通渋滞もなく、美しい伝統的住居が残りとても気に入った場所です。そこには美しい神社があり、きれいな空気が流れていてわび・さびが感じられます。一方、日本の都会はとてもごみごみして息苦しく感じます。

                                     群馬県上野村

日本を自転車で旅するのはとても簡単で全く不安がありませんでした。どこにでも公共のトイレがありトイレットペーパーや水道が完備されています。食べものを売る店はどこにでもあります。宿泊は公園や川沿い、博物館、神社などでたいてい問題なくキャンプできました。どこの町でも公共の公園があります。だから日本を旅することは冒険心や挑戦心などまったく必要ありません。しかし、料理を作るために火を使う時だけは困りました。私が調理器のコンロに火をつけるのを目撃した人達がすぐに警察に通報をしました。彼らは私を「犯罪者だ!」と警察に告げ口したようでした。私は目撃者が私に直接注意せず、警察に通報するやりかたにひどく腹がたちました。

日本の物価は非常に高いと聞いていましたが、スーパーマーケットで売られる食料は思ったほど値段が高くありません。いつも1000円以下で一日分の食料を仕入れることができ、平均すると大体600円~800円の出費ですみました。体を洗うのは少し大変で、誰にも見られずに入れる川がめったに見つかりません。時々人に見られながらも素っ裸で川に入り、体を洗いました。山の中にある村では無料の温泉が湧き出ていたり、300円~400円で温泉に入り休養をとることができました。温泉文化は非常に気に入りました。

冬から春にかけては天候が不順で、寒く、雨の日がよくありました。冬場の日本はすっきりと晴れた日が少なく、午前9時か10時を過ぎれば風が吹き始めます。私の旅した期間はあまり天候には恵まれず、残念ながらあまりたくさんの地域を訪れませんでした。

春の日本は素晴らしく、さくらに酔いしれました。さくらだけではなくその後から次々にいろんな花が咲き始めました。なんてたくさんの花が日本に咲くのだろうと驚きました。そして日本にはたくさんの川や森があります。日本の山々はサイクリングするのにとても素晴らしくとても美しいところです。

松本城  

日本の人々は時には親切で寛大です。ほんのわずかの人でしたが私に挨拶してくれたり、「頑張ってください。」と言ってくれました。コーヒーやおにぎり、ジュースやチョコレートを差し入れてくれる人にも出会いました。お金をいただいたこともあります。しかし、たいてい日本の人々は私を無視していきます。私は日本にいる間に孤独を感じることがよくありました。誰も私と話したり話す時間を共にすることなく、自分達の生活しか考えず、異人種に近寄らないようです。日本にいる多くの時間たくさんの人を見るのに、誰とも話をすることがなくさびしい思いをしました。

厳しい日本の人々にも出会いました。ある雨の日、私のテントがびしょびしょに濡れてしまいました。近くの寺に行き、寺の外の軒下にテントを張らせてもらえるように住職にお願いをしました。すると住職は「ダメだ。」と強く言いました。その日は仕方なく日が暮れるまで寺の軒下ですごし、誰もいなくなってから軒下で震えながら眠りました。住職達は私が夜を過ごしているのを見ていましたが私との論争を避けて無視しているようでした。そして次の日の朝早くにその寺を出発しました。

日本人はやさしい気立てを持っています。海外に出ると話を共有し厳しい規則から解放されたように明るくなります。そんな日本の人々から多くを学びました。ユーモアのセンスや、責任感の強さ、完璧に何かをやり遂げようとする取り組み姿勢、美観など。日本人が自分を捨てて仕事や他人に奉仕する姿勢にも感心します。日本の人々はとてもよいマナーが身についています。礼儀正しく、尋ねるとそれに対して一生懸命答えようとしてくれます。しかし残念ながら問題が解決するとそれっきりで友達になる人は現れませんでした。
 
多分日本は探検したり冒険したり旅する国ではなく、休暇(レジャー)を楽しむ人々や休日の自転車旅行を楽しむ人にとって最高の国なのかもしれません。世界で最も安全で、清潔で、数キロごとに休憩施設が備えられ、親切な人々が応対してくれます。しかし、私のように少ないお金で感情や友情を求める旅をするなら日本は物足りなさを感じるでしょう。私は多くの日本の人々がわずかな人々の考えを尊重して欲しいと思います。

     

さあ、これからアラスカへと渡り再び冒険が始まります。

サルバ・ロドリゲス 自転車世界一周(2006~2014) ブログ:unviajedecuento (スペイン語)


サルバさんは2006年、故郷のスペイン・グラナダ市を出発し、2010年12月に日本にやってきました。その間、選挙に伴い暴動が起こったケニア北部や、内戦中のアフガニスタンなど危険地帯も自転車で走りぬけて来ました。日本に来る直前の冬に入ったシベリアでは外国民族に反感をもつ人々や酔っ払いたちから何度かいやな目にあったそうです。大男にいきなり殴られ大怪我をしたり、飲み水をもらいに立寄った農家では大きな犬をけしかけられ咬まれたり、と・・・。そんなピンチを数々乗り越えてやってきた日本では平和の素晴らしさを実感されていました。今後の冒険が無事に続けられますように。


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