ぺダリアン.com
PEDALIAN.com JACC日本アドベンチャー・サイクリストクラブ 日本国際自転車交流協会
menu
INTRODUCTION
はじめに
JACC
JACCとは
地球体験情報紙


PEDALIAN



EXCHANGE



 



 

※世界一周中の出堀良一会員から今後世界を旅するサイクリストたちへのアドバイスです。(2013年1月)

      「安全対策と心得ておきたいこと」

現在、東アフリカを走行中の出堀です。
 昨年末まで西アフリカを走行していましたが、先のルートが情勢不安のためビザの発給が停止されているとの事でカメルーンより東アフリカのエチオピアへ渡ってきました。中部アフリカを走行できなかったのは心残りですが、新年をエチオピアで迎え心機一転アフリカ後半戦の旅路に今ではワクワクしています。そんなエチオピアにはいり3週間ほど経った現在、TVのでは連日マリを中心とした西アフリカの戦慄を伝えるニュースが流れています。ほんの数ヶ月ほど前まで走行していた場所が今では戦いの舞台になってしまっていることに驚きと悲しさを感じずにはいられません。一つ判断を間違えていれば僕も事件に遭っていたかもしれない。そう思う恐怖は隠しきれません。ギニアの首都コナクリでこの先のルートを検討していた際、すでにマリには危険信号が出ていました。あらゆる情報を集め検討し、その時点では無事にマリを通過する事ができましたが、そのとき抱いた懸念事項は遅いか早いかの違いしかなかったのです。
 北アフリカの情勢不安から砂漠の武装勢力が行き場を失っている事は分かっていました。そして、モロッコでお会いした方が話してくれた砂漠は陸の海であるという言葉が気がかりでした。大海原を渡る船同様、砂漠の民は道なき砂の大海原をラクダという船に乗り、星を頼りに迷う事なく旅ができるのです。もちろん国境など関係なく各地に点在した仲間と合流する術を彼らは日常から持っているのです。そして情勢は一夜に変わるのです。

      

 めまぐるしく変化する世界情勢、昨今多発する旅行者の事故。アドベンチャーサイクリストという特別なカテゴリーの中で、僕らはどのように安全対策を行い、また心がけないといけないのか。僕なりに考えてみました。これは現行中のサイクリストの皆さんで確認しあいたい事と、これから世界に飛び出そうとする皆さんへ向けて次なる事故を未然に防ぐ目的で書き出してみたものです。諸先輩方には当たり前の事で、至らぬ点も多々あるかと思いますが、そこは追記して頂き充実した安全対策になれば幸に思います。

 世界を自由気ままに自転車の旅
 何も気兼ねなく走り進めてゆける世界になる日を願っています。




安全対策■ - 自分の身は自分で守る。-
走行上の注意

安全グッツは極力身につける
 ヘルメットの着用、バックミラーの装備、反射板やテールランプ、GPSや携帯電話の通信機器など安全を確保できる装備はできるだけ身につけておくようにしましょう。装備の着用は個人の判断次第ですが備えあれば憂いなしと心得ておきましょう。最近ではGPSによるSOSサインが出る端末機もあります。一言の連絡や、警備会社への緊急発信が可能で、緊急時にボタンを押すと警備会社の社員が現地に飛んで来てくれるものがあるそうです。(モロッコで会ったサイクリストが紹介してくれました。)長期旅行では難しいと思いますが、安全グッツも日々進化しています。

 


夜間、悪天候時には走行しない。
 これは徹底しましょう。視界が狭まる夜間は平衡感覚も失われ、まちがいなく事故の元です。悪天候時も同様。スコールや霧、雲の中など突然の天候変化は細心の注意をして安全が確保できるまで待機すること。日が暮れかけ「あともう少しで町だ」という状況でも、その先に悪路や上り坂で闇が追いついてしまうかもしれません。町に到着できても安心できる宿を探すのに時間がかかるかもしれません。そこで足を止め、日落ちまでのわずかな時間を安全確保に使えるかどうかが真のアドベンチャーサイクリストであるかどうかの分かれ道です。


祝典・祭礼・選挙などのイベント時には走行は控える
 多くの人が集まるイベントがある場合は交通機関が麻痺し、思わぬトラブルになる可能性があります。建国記念日や独立記念日、戦勝記念日の軍事パレード、日本では馴染みの少ない祭礼日など世界には多くのイベントがあり、国内や海外から多くの人々が訪れます。また、選挙も日本とは比べ物にならないほど大イベントになり当選しなかった議員の支持者による暴動や事件も多発するの国もあるので外出も控えた方がいい場合もあります。また大掛かりなスポーツイベントや国によりクリスマスなども同様です。

世界の動きに敏感になろう。時勢の目を持とう。
 まだまだ世界情勢は綱渡りをするように不安定で一夜にして事態は一変します。今いる国の情勢を把握しておくのはもちろんですが、世界情勢は芋づる式に繋がっていったり飛び火したりするものです。(宗教紛争、連帯加盟国家、武力介入など)情報、ニュースを得るタイミングがあれば今いる国の問題だけではなく広い目で世界の現状を把握しておきましょう。


その国を勉強してから入国しよう。
 同じ大陸内であれその国にはその国の歴史があり、考え方やマナー、習慣が変わります。特に宗教などデリケートな部分は細心の注意が必要です。日本ではOKであることもその国ではタブーとされている行動も多く、前もって理解をしてから入国するようにしましょう。国籍や宗教が違うから旅行者だからといって許されるものではありません。その国で事件を起こせばその国の法律で裁かれることと同様、その国のルールに従いましょう。郷にいれば郷に従えです。
挨拶の仕方、衣服の注意、食事のマナー、喫煙&飲酒のルール、写真撮影など
(宗教によっては、他人が触ってはならない体の部分や女性厳の場所などもあります。ほかにも迷彩柄の衣服は軍人以外着用禁止の国もあります。)
各地域で流行している病気や伝染病も同様です。


野宿は安全第一に考えて設営を。
 地域によっては定期的に宿泊施設がなかったり、無村地帯を走行すれば必然的に野宿を余儀なくされます。途上国では幹線道路やメイン道路を走る事が多くなると思いますが、国の血管の上を走っている以上道路沿いには切れる事なく商店や民家が並び、道路脇は畑が続いていて野宿場所を探すのにも苦労することもしばしばあります。もちろん大自然の中でのキャンプは旅の醍醐味の一つでもありますが、キャンプサイト以外での野宿では危険もつきものです。人気がない自然の中にテントを張っても、そこは人気がないゆえに恰好の強盗スポットであったり、茂みの中に隠れても夜間のテントは食事を作ったり、ライトを付けたりする事でランタンのように闇に浮かぶ目印にもなってしまいます。
 もし、人気があり安全が確認できない場合は逆に人気のある場所で許可をもらいテントを張らせてもらうほうが安全です。警察署、消防署、病院、学校などの公共施設、ガソリンスタンドや夜間警備員のいる施設など日本では考えられことですが、海外では許可をしてくれる場所も多いものです。小さな村でも家の軒先や囲いのある庭にテントを張らせてもらえれば自分以外の人の目もあり
まずは安全です。それが縁で食事を頂いたり、家に招いてもらったりと日常の風景にも出会え、こんな夜がその国一番の思い出になることも少なくありません。

 


事件、事故が起きてしまった場合を想定して
緊急連絡先を控えておき、緊急連絡網の確保をしておく。
 もしも事件、事故が起きた場合の連絡先を控えておきましょう。各国にある日本大使館の所在地、連絡先、助けを呼べる機関や家族の連絡先は控え常に携帯しておくこと。各大使間には各国の大使館を記載した三つ折り程度の冊子があり、もらっておくと便利です。家族やJACCなどサポートしてもらえる場所には目処が立つところまでの行程を伝え、連絡できる状況になれば現在地を小まめに連絡しておきましょう。

 前もって事故が起きた場合の取り決めをしておくのも大事です。例えば家族に「無言でも海外から着信があった場合は大使館とJACCに連絡を入れるように」と伝えておくのもいいかもしれません。
 失敗例として、僕はコスタリカで強盗に遭った時に家族に「コスタリカ ゴウトウ
ナニモナシ」とSMSで電報的に連絡したところ家族からの連絡は一切なく、後日確認してみると「コスタリカには強盗もなにもなくて平和です」というメッセージと思っていたと言われて愕然としたのを覚えています。取り決めは大事です!

 で記しているように、携帯電話などの通信手段を確保しておくのも一つの方法です。今やサハラ砂漠の真ん中でラクダに乗りながらでも、サバンナで動物を眺めながらでもほとんどの場所で携帯電話は使えます。僕はアフリカでは現地の携帯電話を持っているが、海外の携帯電話のシステムはSIM(シム)カード方式で、いわゆるプリペードケータイがほとんど。日本のように面倒な登録手続きや引き落としの口座を登録する必要もなく、番号が登録されたSIMカードを購入し、料金がなくなればチャージカード(テレホンカードのような入金カード)を購入すればその場で入金もできます。もちろん国際電話使用可能で携帯会社によってはSkypeや日本の携帯へSMSも使えます。国が変われば携帯会社を変える必要はでてきますが、SIMカードの交換だけで携帯電話本体はそのまま使えますし、SIMカードやチャージカードは小さな村の売店でも売っていてどこでも手に入ります。携帯電話本体が1000円~
SIM
カードが100円~250円ほどなのでいつでも連絡ができる安全を買うなら安いのではないでしょうか。


事故が起きた時は些細な事でも報告と発表をすること。
 事故や事件が起きた場合はどんな小さな事でも報告をし、発表しておくことも大事です。例えば些細な接触事故でも後に重大な怪我に繋がる可能性もありますし、自信のブログやJACCなどの機関で発表することにより再犯防止に繋がります。感染病や伝染病の病気も同様です。自分だけの事故ではなく、後のサイクリストの為に生かせるようにしましょう。

 


ペダルを踏む前に心得ておきたい事。

日本国旗の掲揚や“JAPAN”と標示されている物の装備着用は安全を確かめてから
 大海原を駆け巡る船同様、様々な国を勇ましく自転車で駆け抜けるその姿に日本国という示しを表したいもの。僕も東日本大震災の後は日本国旗を自転車に掲げ走っていました。しかし、世界の目では日本人=金持ちという考えもまだまだ定着しています。時に鴨がネギをしょって歩いてきたという行動にもなりかねないので安全を確かめた上で掲揚、着用をしましょう。

冒険危険な旅は似て非なるもの。
 『自転車で世界を駆け巡る』この言葉、行動は冒険心をかき立て、まだ見ぬ世界へ漕ぎ進めていく原動力でもありますが冒険危険な旅とは似て非なるものであることを心得ておきましょう。『冒険』という言葉を辞書で調べると危険をおかすこと。成功のたしかではないことをあえてすることとでますが、それをするのが冒険家というと
それは違います。冒険家は念入りに調査し、計画を立て、勝算を導きだし、未だ成し遂げられたことのない行跡に挑む者のことを冒険家といい、ただ危険な行為に挑むのが冒険家ではありません。生きて帰ることで業績が成し遂げられ、失敗しても生きて帰れば再挑戦できる事を彼らはよく知っています。「勝てない勝負はしない」「帰るまでが遠足」これが鉄則なのです。

最後に敵になるのはであり、最後に助けになるのもである。
 もちろん安全を確かめて旅路を選び進んでいますが、危険な国”“危険な地域と呼ばれてしまう場所も通過しなければならない場合もあります。紛争地帯や退避命令が出ている場所には立ち入らないのはもちろんですが、スリや首閉め強盗、ケチャップ強盗なのどの軽犯罪が多発する場所を通過しなければならない場合はあります。常に警戒を怠らずに上手い話はないと疑いの目でいる物事を考えることは大切ですが、そればかりでは人間関係に亀裂が生まれ思わぬ標的にされてしまう場合もあります。どんなに危険と言われる国でも誰しもが犯罪者かというとそれは違います。家族があり、母がいて子がいて細やかな幸せを見つけて暮らしているのはどこの国でも変はりありません。信頼できそうな人には警戒心だけでなく旅の理解も深めてもらい、安全な場所を確立するのも一つの方法です。またそれが縁で先のルートにあたる友人を紹介してもらえたりするのも珍しくありません。「外国人観光客」から「自転車の日本人」になり「私たちの日本人」と呼ばれるようになれば事件や事故に遭う確立はぐっと減ります。どんな国でも信頼関係は最大の助けになること理解しておきましょう。

 

                                文責: 出堀良一@エチオピア南部より

 
ホームページ:REASON、ブログ:“自転車”世界一周踏闘記


                地球体験レポート出堀良一         戻る

Copyright c 2005 PEDALIAN. All Rights Reserved. http://www.pedalian.com